第11回:日本美術工芸株式会社

世界でここだけ!美しいボールスタンドを造り出した社長に直撃

画像左:日本美術工芸株式会社 村田修 代表取締役社長
画像右:株式会社ゼルビア パートナー事業部 伊東祥明

VOICeSは、FC町田ゼルビアを熱くご支援くださっているパートナー企業様の『声』をお届けするコンテンツです。
第11回目となる今回は、日本美術工芸株式会社の村田修 代表取締役社長に話を伺いました。

村田社長が手掛けた作品の一つが、試合時にビジターチームの選手たちの目を引き付ける、あの美しいボールスタンドです。

そのスタンドが生み出された背景とは?そして、FC町田ゼルビアにご協賛いただいている理由とは?
この記事でしか知ることができない、「ボールスタンド誕生秘話」をお見逃しなく!

どうぞ最後までお楽しみください!

目次

2019シーズンから登場しているボールスタンドは、入場の際、アウェイチームの選手がビックリするケースも多いです。

そりゃそうでしょう。世界に他にないもの(笑)。

そもそもどちら発信で造ることになったのでしょうか。

ウチからですね。押し付けたの(笑)。
経緯を振り返ると、2018シーズンまでは看板を設置していただいていましたが、「ボールを置く台座をウチで造るよ」と、村田代表取締役にご提案いただきました。

村田代表取締役発信だったのですね。

最初にデザインのラフをいただいたのですが、「コレですか?」と非常にビックリしたことを覚えています。
アクリルを削り出していくような造りは、他ではなかなかないですよ。世界でウチだけで。やり方も全部独特。

ちなみに製作期間は?

およそ2カ月ぐらいです。アクリルをNCマシーン(NC彫刻機)で削り出して終わりではなく、そこから磨き上げが始まります。研摩することであのような光沢や質感が出ます。

まずデザインのラフを書くことから始まりますよね。

そう。ペペペペ、とね(笑)。

絵心がない人間とすれば、それが難しいことかと(苦笑)…。

形のイメージがあって、それを次第に具現化していくんです。

デザインコンセプトはあるのですか?

言葉では表現できないですね。感覚です。アブストラクション、抽象ですから。具象ではないんです。こういう形を模したとか、そういった類の話でもありません。ボールスタンドを造るためだけの形です。

アイディアや発想はどのような形でひらめくのでしょうか。

連作をやっているので、その一環で出来上がりました。

何かを造っていると、別の物のイメージが湧いてくる感覚ですか。

そうです。今制作しているものはR形状の物と直線的な物と、二極化したデザインになっています。また違った形も模索しています。もう永遠と続くことです。

製作部隊は別にいるのですか?

マッケット製作までは自分1人でやっています。削り出していく中で、裏面と表面の辻褄を合わせるのは結構大変なんです。だから人の手には任せられません。造りながら、だんだんと自分のイメージに近づけていく形です。 マッケット後は社内のスタッフに任せます。3Dスキャニング、データ加工、NC切削、研磨加工、すべて社内のスペシャリスト達で仕上げていきます。 [注:マッケット…模型。特に、彫刻の試作のための雛型 (コトバンクより)。マケットとも]

造りながらイメージと遠ざかってしまった場合は?

マケット時点でボツにします。

えー! 振り出しに戻すわけですか。

造って納得がいかないならばボツにする。その繰り返しですね。

あのボールスタンドの場合は…。

ボツにすることはなかったですね。ストレートに完成しました。意外と直線的な構成にするとボツにするケースが多いのですが、あのような曲線的な形はうまく辻褄が合うんです。

なるほど。

あとは光の屈折を考えながら造ります。乱反射がどうなるかなとか、想像をしながら。

ナイターの時の方がより「映える」イメージなのですね。

当然そうです。反射光をできるだけ集約して見せたかったし、曲面の変化もあわせて見せたかったことであのような形になりました。

昼間の試合で映えるか。ナイターで映えるか。それぞれの良いとこ取りの着地点ではなく、ナイターで映える方に重きを置いたイメージですか?

そんなこともないですよ。昼間の自然光での映り込みもありますから、それは場所によって変わってくるものです。それはなかなか意図できるものではありません。 周りのお客さんの視点や偶然性によって見え方が変わってくるので、そこが面白いところです。

表情がある程度こう変わるというのは想像できるものですか。

背景がモノトーンで映り込みが少ない場合は想像できますが、当然背景が複雑な場合の映り込みは想像できません。
ナイターで光っている時の迫力はすごいですよね。ただゼルビアだから青に光らせるのではなく、いろいろなカラーの中でより青が映えるような形になっているため、毎回驚きがあります。
そういう演出もできるんですよ。今製作中の作品は音もプラスして、音と光を合わせた演出効果ができるように、トライしています。まだ発展段階ですが、そのうち完成形を造ってやろうと思っています。
アクリルを造形で削っていく。世界でも類を見ない作品であることを改めて再認識しました
造れば造るほどオリジナリティーが生まれてくるので、楽しくて仕方がありません。 技術の最先端を行っている感じですね こういう仕事に携われて光栄です。
W杯ですら、あれほどのボールスタンドは使ってないわけですからね。世界No.1のボールスタンドであることを肝に銘じます。
世界に1つしかないわけですから、当然です。クラブ自体もどんどんオリジナリティーをアピールして下さいね。世界基準ですから。
取材を受ける日本美術工芸株式会社社長

それにしてもすごい技術ですね…。

私は専門バカというか、造形一筋45年です。スタートは岡本太郎のアトリエでアシスタントのようなことをしていましたが、この会社の先代の経営者から引き抜かれました。そこから私が経営権を引き継ぎました。弊社はフォトロケーションの製作における草分け的存在でもあります。

話の順番が前後して申し訳ないのですが、パートナー企業になっていただいた経緯を聞かせて下さい。

他のパートナー企業の方からのご紹介です。地域に貢献できることは、会社として1つのステータスですから、協賛することにしました。

パートナー企業になられた後は、ゼルビアをより身近に感じていただける機会も増えましたか。

社員が試合観戦に出掛ける機会があるため、会社の福利厚生として大変お世話になっています。
試合後には、直接社員の方から祝福のご連絡をいただくこともあるぐらいです!
勝ち負けの世界ですから。やっぱり勝ってナンボですよ。そこのところ、よろしくお願いします(笑)。ちなみに『天空の城』プロジェクトの進捗はいかがですか?
今年から本格的にプロジェクトが始まりましたが、完成形があるものではなく、どんどん新しいものを取り入れて発展していくプロジェクトになっています。
アイディアはてんこ盛りにあるので、力をお貸しますよ。
その際は、ぜひともよろしくお願い致します。

今後のゼルビアに期待していることは、やはりJ1昇格ですか。

それは当然でしょう。J1に昇格したら、スポンサー料をもう少し上げても良いかなと思っていますよ。
ぜひよろしくお願い致します! 今季は上位ですし、他のJ2クラブからもゼルビアのJ1昇格に対する本気度は伝わっていると思います。

伊東さんは担当者として、向き合う中で感じていることは?

来るたびに新しい物ができているので、「今回は何ができているのだろう?」と来るのが楽しみです。実際にボールスタンドを造る時のプロセスを拝見していると、私たちの方を向いて造って下さったんだなと実感しています。完成品も素晴らしい物を造っていただき、そんな企業が町田にあることが個人的にうれしく思います! このボールスタンドは日本美術工芸様が造ったんだと、今後も積極的に外へ発信していきたいと思います。
何度も強調しますが、世界にあれ一つしかないですから。
パートナー企業であることを自慢できるのが誇らしいです! 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
社名:日本美術工芸株式会社
カテゴリー:オフィシャルクラブパートナー
業種:造形物の製造
代表取締役社長:村田修
公式サイト:http://www.j-art-craft.com/
所在地:〒194-0004  東京都町田市鶴間 7-20-19 (本社・工場)

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