第4回:学校法人玉川大学・玉川学園

『本物』にこだわった、継続的な教育連携を目指して

写真右:玉川学園中学部体育科教諭 大澤誕也
写真中央:玉川大学経営学部国際経営学科准教授 長谷川英伸
写真左:玉川学園高等部社会地歴公民科教諭 鳥海豊

FC町田ゼルビアは、ファン・サポーターの皆様をはじめ、パートナー企業・行政・地域の皆様など、様々な方々に支えられ活動させていただいております。
その中で、FC町田ゼルビアを熱くご支援くださっている「パートナー企業の皆様の『声』をもっと届けたい」という想いから、新たに特設コンテンツとして「VOICeS」を発足しました。

今回は、学校法人玉川学園・玉川大学の先生方から、
プロサッカーチームと学校法人の協業や、これからの教育連携のあり方について伺いました。

目次

本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。まずは各先生から、ゼルビアとの教育連携の活動内容について聞かせて下さい。

『経営塾』という講義の中でゼルビアさんにはご協力いただいています。私は中小企業経営を専門とする中で、なかなかスポーツ関連の接点がなかったため、総務部の方からご紹介いただけたのはありがたかったです。最初はどう組み立てていこうか心配していましたが、唐井直GMによる講義では、クラブチームの収益構造やコストなどのお話を聞かせていただき、経営的な視点でスポーツを見ることが学生にも新鮮に映ったようです。

学生さんの反応はいかがでしたか?

GMとしての苦悩もお話しいただけたことで、スポーツ経営の分野に触れてこなかった学生にも興味深く聞いてもらったという感触はあります。

高等部の鳥海先生はどんな教育連携をされてきましたか?

スタートは唐井GMにお越しいただき、クラブ経営について、政治経済の授業で講義をしていただきました。そのほかには、「スポーツの世界における差別根絶に関する取り組み」や、大友健寿社長に登壇いただいた際は、「Jリーグクラブが考える循環型社会と食育」をテーマにお話ししていただきました。生徒にも興味深く聞いてもらい、鋭い質問も出ました。また、Jリーグ自体は地域密着を謳っているため、生徒たちにとっては、地域活性化の観点で物事を考えるキッカケにもなったと思います。

なるほど。地域の視点はある意味、盲点だったのでしょうか。

玉川学園は私立なので、町田という地域には興味を持ちづらい背景があります。クラブ経営の話とは別に、Jリーグ百年構想についてお話しいただくことで、サッカーを入り口として、Jリーグには日本全体を活性化させるという狙いがあるんだと。それが伝わることで「地域」という近いようであまり考えが及ばないワードについて、生徒たちも考えるようになりました。

中学部の大澤先生はいかがでしょうか? 担当教科が体育ということで、最も現場に近い教育連携なのかなという印象です。

実際に選手やコーチに来ていただいて、特別授業とスポーツ大会をセットにして行っています。スポーツ大会ではゼルビアのコーチ陣に各クラスの監督となってもらい、クラス対抗で対戦します。チームが優勝するとプロの選手と試合ができる仕組みになっています。生徒たちの様子を見ていると、皆が夢中になって楽しんでプレーしている姿が印象的です。また徐々に勝ちにこだわるようになり、監督と共に一生懸命作戦を考えている姿も印象的です。玉川学園としては、本物に触れる教育を大切にしていますので、指導のプロの方と関われることや本物のプロ選手にプレーを見せてもらう。そういったことは、玉川学園の健康教育として、この上ないものと思っています。

その光景が目に浮かぶようですね!

最初は、それこそ失礼な話、「J2クラブでしょ?」という雰囲気があるんです(苦笑)。でもそういう生徒に限って、目をキラキラさせてプレーしています(笑)。皆さん、さすがだなと感心します。コーチの方の話の持っていき方や、目の前で本物の力強いプレーやスピード感のあるプレーを見せてもらうと、「さすがプロの技術だな」と思います。またそういう選手を選んでくれているのか。かっこいい選手が来てくれるんですよ。来た時点で「おっ!」となりますし、女子生徒はもう目がハートになっています(笑)。男子生徒は一生懸命選手に挑んでいくので、今後も続けていきたい活動です。

先生方もご苦労されている部分があるんですね。

コーチの方が話始めると、生徒たちの気持ちがそのコーチにフワッと向いていくんです。やっぱり分野は違えども、子供たちのひきつけ方など学ぶ点が多いです。
大澤先生がお話された通り、玉川学園の教育は本物に触れることをモットーの1つとしています。やはり書籍ばかり読んでいても、経営学は実際にやってみなければ分からないことがある。理論と実践の融合というか、学外の講師や経営者の方(経営者等)に来ていただいて、理論だけでは説明できないことも起こり得るのを体感していかないと。そういった意味では「クラブ経営の規模を20億円まで引き上げるにはどうしたら良いか」といったリアルな課題に、ゼルビアさんを通して取り組めることは、とてもありがたいお話です。

ゼルビアが学校法人と手を組むメリットについては、どんなお考えをお持ちでしょうか?

玉川学園との教育連携を通じて、将来的にプロサッカー界を盛り上げるためにキャリアを積み上げていこうと考える学生が出てくるでしょうし、スポーツ界全体が活性化していくための人材育成にも繋がるのではないでしょうか。短期的な視点だけではなく、継続的な教育連携を基に、巡り巡ってという形でも、ゼルビアさんに恩恵があってほしいという想いでやらせていただいています。
町田は「コレ」と言える代名詞のようなものがないですし、地域のクラブチームとして、たくさんの人を巻き込んでいくための入り口に使っていただければと思います。そういった意味で学校は「これからの世代」です。お客さん発掘。選手発掘。ボランティア発掘…。そういった意味で、学校は最適な場所ではないでしょうか。
学校と教育連携を図ることで、サッカーの価値、スポーツの価値を上げることができるのでは。町田はサッカーの街。サッカーを通して、町田の皆が笑顔になる。これ以上ない、活動です。

これまで実施してきた教育連携以外で、ゼルビアを活用できるアイデアは、他に何かお持ちですか?

大学生として、どういう身構えが必要か。玉川大学では「一年次セミナー」という全学部の一年次生必修科目があります。それこそ15コマある中で、「この回はゼルビアさんのところへ出掛けて、何かをやりましょう」といった、1年間を通した何らかのプロジェクトがあると面白いかもしれません。

実現性は別として、1年間を通じてのプロジェクトは名案ですね。

町田にある大学に入学し、町田の顔となるゼルビアさんと一緒に学んでいく。学生にとって、企業は将来的に学生が就職する組織ですから、1年生の段階で企業のことを学ぶ、というのはいかがでしょうか。学生たちがキャリアを考える上でも役に立つのでは?
ちなみに玉川大学からゼルビアに入社した人はいるのですか?
まだいないんですよ。仮に町田の地元のサッカークラブで運営に関わるインターンシッププログラムを構築できれば、他大学との差別化を図れると思います。お互いが長く続くネットワークを構築していくためにも、相互関係のある教育連携をできると良いなと思います。
確かに卒業生がゼルビアに入社するルートができれば、それは強力な連携ですよね。またこれは1つの提案ですが、生徒にとって一番の刺激は試合中の一番の責任者である監督さん、そして選手に来ていただくこと。皆さんお忙しいとは思いますが、いつかそういった機会を作ってくださるとうれしいです。

伊東さんは営業担当の窓口として向き合う中で、どんな想いを抱いていますか?

個人的な経歴として、幼少中高大でサッカークラブと接点を持つ機会がなかったので、生徒や学生の反応が興味深いです。中学部のスポーツ大会では楽しそうにサッカーをしている姿が印象的ですし、長谷川先生の講義で質問が出るとうれしくなります。また鳥海先生の授業では細かいレポートを提出してくれる生徒さんもいました。学生さんや生徒さんたちのために、何かをしたいという想いがあふれてきます。

トップチームのチーム作りという意味では、TAP(Tamagawa Adventure Program)にはすごくお世話になっていますよね。

シーズンの最初は、始動日から間もなくのタイミングでご協力いただいています。TAPが終わった後は、新加入選手も既存選手も最初はあった壁のようなものが崩れて、チームとしてグッとまとまっているのが良く分かります。TAPはJ2リーグ開幕の段階で良いチームに仕上がるための大きな役割を担っています。 ※TAP(Tamagawa Adventure Program): 個人やグループのチーム力を高める体験学習プログラム。詳しくは、こちら

最後にゼルビアとの教育連携で今後、期待したいことを聞かせて下さい。

サッカーの指導者としての立場でお話しさせていただくと、お互いに切磋琢磨できる状況を作れれば、関係性も大きくなっていくのかなと思います。例えばゼルビアユースの選手でトップチームに昇格できなかった選手が玉川大学に入学して、鍛えられて、ゼルビアのトップチームに加入するとか。今はアカデミー出身選手が大学を経由して、元のトップチームに加入する“Uターン加入”のケースもあります。また玉川大学には教育学部があるので、仮にプロになれなくても、将来的に教育者やサッカーの指導者になるという道も拓かれていますし。

別のキャリアへの道が拓かれているというのは、1つの大きなメリットですね!

ただ玉川大学のサッカー部が関東リーグに所属するくらいの力を付ける必要があると思います。そのために実現は難しいかもしれませんが、ゼルビアのアカデミーの指導者が出向という形でサッカー部を指導するなど、選手・指導者共に様々な受け皿を作り、刺激を与えられるようなWIN-WINの関係を作れれば良いなと思います。

長谷川先生はいかがでしょうか?

先ほどからお話が出ているように、ゼルビアさんとの関係性を強化するには例えば、特別枠で1人、玉川大学の新卒者を採用していただくことも一つの手かなと思います。教育連携はやればやるほど奥深くなるもの。これまでは単発的にやらせていただいていますが、それではどうしても効果が少ないですから、大学全体としてゼルビアさんの受け皿となって、建設的にやれることをやっていく。ゼルビアさんと教育連携をすることで各学部にどういった効果があるのか。それを精査した方が良いと思います。その上で、一歩ずつ進んでいければと。
私も玉川大学の新卒者を採用していただくことに大賛成です。できれば玉川出身の選手も見てみたいです。地上波でほとんどJリーグの試合はやらなくなった今、「ゼルビアには玉川学園から来た人がいるみたいだよ」という話は、クラブが身近になるための1つの取っ掛かりになるのでは。

特別枠の採用は、クラブとしてぜひ検討材料にしてください。それでは本日はありがとうございました。

社名:学校法人玉川学園・玉川大学

カテゴリー:トップパートナー

業種:学校運営

代表者:理事長 小原 芳明

公式サイト:https://www.tamagawa.jp/

所在地:〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1

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